逝ってしまった巨人~瀕死のFIATを蘇らせたMarchionne~
10月 26, 2018
Ciao! Journal no. 16
11月 6, 2018

ルッカのコミックフェス〜 LUCCA COMICS & GAMES

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 イタリアにお住いの皆さんなら「ルッカコミックス」の名を一度は耳にしたことがあるだろう。トスカーナ州にあるルッカは作曲家プッチーニの生誕地として有名。そしてイタリア史の中では、自主独立の道を長く歩み得た都市として名高い。そんな町で、何かが起こっている。

 

 だがまず、そもそもルッカコミックスとは何なのか? 正式名称は「ルッカコミックス&ゲームズ」(1995年以降)。漫画を主軸としながら、基本的にサブカルチャーのファンのためのイベントだ。その歴史は古く、始まりは1966年にまで遡る。そして、今やフランスのジャパンエキスポを超えて世界で2番目、ヨーロッパで最大の集客数を誇るコミックフェスとなった(ちなみに、世界で1番目は言わずもがなの日本のコミケ)。よって、世界中から参加者や観光客が訪れ、例えばアメリカなどからわざわざやって来る観光客も少なくない。

ルッカコミックスでは何が行われるの?

 上映会、コンサート、講演、コスプレ、作家との交流会などである。順番に説明していこう。

◎上映会は、基本的に新作試写会である。映画やテレビドラマに関してはアメリカのものが多く、アニメやゲームは日本のものが多い。アニメは第一話のみ、ゲームはプロモーションビデオ。別に設けられたブースにゲーム試遊機があることも多く、発売前の新作が少し体験できるといった仕組みだ(もちろん時間制限あります)。

◎コンサートはイタリアのバンドか、外国勢なら主に日本のバンドによるもの。講演は、有名人によるトークショー又は有識者同士による意見交換会であったり、著名な人たちへのインタビューであったりと、形式は様々。

◎コスプレと言えばまずコンテストであろう。だがコンテストに出て入賞するだけがコスプレイヤーの目標ではない。街中を練り歩いて観光客の写真撮影を受ける、他のコスプレイヤーとの交流を深めるなど、人によって様々な楽しみ方がある。

◎作家との交流とは、サイン会&握手会、ツーショット撮影だ。作家というのは基本漫画家だが、音楽アーティストやゲームクリエイターの場合もある。サイン会では、その場で購入したものにサインしてもらう以外に、既に持っている作品を持ち込むのもアリ。

ルッカコミックスが他のコミックフェスと違う点

 日本以外のコミックフェスが日本のそれと大きく違う点は、当たり前ではあるが海外物コンテンツの比率だ。販売される漫画の半数以上はアメコミ(アメリカン・コミックス)であるし、ゲームも海外製がかなり多く、コスプレも海外作品のキャラ(ディズニーを初めとする)のものが多い。


 そして、このようなイベントはどこの国でもイベント会場で行われるのが一般的だが、ルッカコミックスでは街全体が会場になる。元々はルッカの街の外の草原にテントを張って行われていた催しだったが、規模が大きくなりすぎて場所が足りなくなり、2006年から市街全てが会場とされるようになったのだそうだ。故に参加者はコスプレで街を練り歩くことになり、ヴェネツィアのカーニバルに近い雰囲気がある。



 イベント会場である市街に入るための入場料というものはない(ただし、中には有料のテントや建物もあり、全有料区域共通の1日有効券は販売されている)。日本のコミックフェスは入場無料であるものの、海外では資金回収、セキュリティーといった様々な理由から有料となっていることが多い。その中でルッカコミックスは珍しく無料ということもあって、観光客が集まる。「興味はあるけど入場料が高いから行くのをやめようかな」もしくは「せっかく高い入場料払ったんだから元を取らなきゃ」といった考えは排除でき、まあいえば気軽に、この珍しいお祭りを覗きに行けるのだ。

ルッカコミックスに行くならここに注意!

 舐めてはならないのはイタリアの交通事情である(この期に及んで舐める人もいないと思うが)。公共交通機関を利用してルッカに向かうのはお勧めできず、車で行くべきだと申し上げたい。今年は10月31日~11月4日の開催で、これを読んでおられる皆さんにはもはや遅すぎる情報であるが、来年のために役立ててほしい。

 

 ルッカコミックスの期間、ルッカ行きの公共交通機関は利用者が多すぎて、通常通りに動くことはまずない。1時間の遅れは当たり前で下手をすると5~6時間、最悪の場合は電車自体がキャンセルになることも。日本の交通機関が、世界一の集客数を誇るイベントの日にも通常通り運行すること自体が、“異常”と言えるかもしれない(などと、不便な国に住んでいるとイビツな考えを持ってしまうものだ)。

そしてもう一つ、他の町から遠征する人にとって問題となるのは宿ではなかろうか。例えばミラノからであれば高速道路で片道3時間、日帰りは厳しい。だが宿は高い(この期間は値段設定が“無法地帯”と言ってもいい…)。ではどうしたらいいか。いくつかの解決策を準備させていただいた。

 

①少し離れた主要都市に泊まる

 ただしイベントにぶつけて値段が跳ね上がるホテルも勿論あるのでご注意!「しっかりしたホテルだからこの値段で妥当」と思える場合もあれば、「この程度でこの値段?ぼったくりじゃん!」という場合もある。予約する際に宿泊施設の写真をよーく見ていただくしかない。

ご参考までに近郊の主要都市を羅列してみると、

・ヴィアレッジョ:カーニバルで有名な町。フィレンツェからの電車の終点。

・モンテカティーニ:温泉もある有名観光都市であるため値段は高め。

・ピサ:ピサだもん、そりゃあ高いよ。

・フィレンツェ:説明不要だが高い。そして遠い。

・ラ・スペツィア:フィレンツェと同じぐらい遠いが、値段は安め。

②早めに予約する

 当たり前だと思われるかもしれないが、油断することなかれ。私は毎年11月に予約する。翌年の宿泊施設を、である。飛行機と同じでイベントが近づくにつれ料金は上がって行くわけだし、イベントが終わった直後は誰も来年のことまで頭が回らない。用意周到。これイタリアでは大事!

③人数を集めてアパート一軒を借りる

 上述のように歴史ある町に、突然風変わりなイベントが侵入してきたわけだから、現地にはそれを快く思わない人も多い。毎年「諸聖人の祝日」(11月1日。本誌p.6をご参照ください)は騒がしくてゆっくり過ごせないからと、やむをえず旅行に出る人たちが結構いる。そのような家庭が、空いた家を貸し出すのだ。イベント期間の5日間全て、一軒丸ごと使用してくれるグループが有難がられるのは言うまでもないが、一人でも2,3日でも交渉してみる価値はあると思う。

 

 季節柄、ルッカコミックス期間中必ずどこかで雨に降られるのは周知のこと。雨の中、そして水たまりでも歩けるような雨靴・雨具は必ず持って行きましょう。まあ来年のことですが…。

文・Toshiyasu Hiramatsu

右が筆者のトシです。来年ルッカでお会いしましょう!

(Ciao!Journal no.16 2018年11-12月号より)
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