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ミラノのスカラ座立ち見チケットの取り方

(Ciao!Journal no.4 p.6 より)ちょっとテアトロ 

テアトロ劇場

ミラノのスカラ座立ち見チケットの取り方

 田中(スカラ座前にて劇場を見上げながら) 「せっかくミラノに住んでるんだし、いっぺんスカラ座で観劇してみたいなあ。でも突然思い立ったはいいが、どうやってチケットを手に入れるんだ?うーん、なんだか面倒臭そうだし今回はパスするか。」(そこへ、時代錯誤のシルクハットをかぶった謎の男が通りかかる)

ジュゼッペ「ホレホレそこのあなた、ちょっと待ちなされ。せっかく素敵なことを思いついたのに、あっさり諦めてしまってはいけませんぞ。いい方法があるのです。まずはスカラ座でプログラムをもらいなされ。そして明日あさって辺り、何か公演がないか見てみるがよい。」

田中「おっ、明日オペラがありますぞ!」(言葉遣いがうつった)

ジュゼッペ「よろしい。では明日あなたはおヒマかな? もしもその日一日空いているのであれば、天井桟敷の立ち見席を狙うがいい。公演当日に140枚だけ売り出されるチケットじゃ。立ち見と言っても椅子はあるのだが、後ろの後ろの席なので立たないと見えない。だから通称 “立ち見席” なのじゃよ。」

田中「へええ、そりゃいいこと聞いた。でもどうやってゲットするんっすか?」

ジュゼッペ「とにかく明日、スカラ座のチケットオフィス前に午前11時頃来なされ。」

田中「ホントですか? 11時に行くだけでいいんですね。」

ジュゼッペ「そうじゃ。11時頃そこに行けば三々五々、人が集まり始めているのでな。そのうち長~い列になっていくぞ。まあ、周りの見ず知らずの人とおしゃべりでもしながら、辛抱強く待っていてくだされ。13時にようやく係員が現れる。早く並び始めた人から順に申し出て名前を書いてもらうのじゃ。リストに入れてもらうためには、身分証明書を提示する必要がありますぞ。」

(翌日、スカラ座のチケットオフィス前で)

ジュゼッペ「おおジャンニ!」

立ち見常連客ジャンニ「これはこれはマエストロ。お久しぶりでございます。お元気そうで何より。最近の作曲はいかがなもんで?」

ジュゼッペ「次も大作になるぞ。それより、日本の友人に、立ち見チケット入手の仕方を説明してあげてくれ。ほれ来た来た。田中さんこっちこっち。」

ジャンニ「マエストロ、私にお任せください。」

♪♪《スカラ座立ち見チケットの取り方》♪♪

 スカラ座正面から見て左横のVia Filodrammaticiにあるチケットオフィスの前で、公演日の午前11時頃から並んでください。13時に係員が現れ、並び始めた順にリストに名前を書いてくれます。そのとき身分証を提示してください。

  その後はいったんお開きです。昼食に行くなり家に帰るなり一眠りするなり何なりと。ですが気をつけて。次の点呼がある17時に先ほどの場所に戻っていること。リストの順に名を呼ばれ、身分証確認のあと整理券を渡されますが、その時その場にいなければアウト。名前を呼ばれてしまったら、息せき切って駆けつけて頼んでもすがってもダメ。せっかく朝11時から並んだのにここで退場だなんて余りに残念です。

  そしてこの日は一日じゅう身分証明書を持ち歩いてください。身分証が無くてもアウトです。整理券をもらったらいよいよチケット入手。17時半に10人ずつ呼ばれて窓口へ。またもや身分証を提示し、バレエ11ユーロ、オペラ15ユーロ(演目によっては13ユーロの時も)で購入。140枚だけ発行されるチケットですので一人一枚限定です。

  公演開始は20時。まだ2時間以上ありますので、ゆっくり食事でもしてリッチな気分を盛り上げるもよし。長丁場に備えてカジュアルな格好で来ていた人は家に戻っておしゃれして出直し。ただし、足腰が疲れるような靴は避けたほうがいいかもしれません。

  いざ観劇。スカラ座正面左寄りにある、天井桟敷への入り口から入場します。スカラ座てっぺんへの長くて急な階段をゆっくり上っていくと、徐々に気分が高揚していくことでしょう。開演前はコートを預けたりと、何かと準備が必要です。時間に余裕をもって行きましょう。座席が見つからなければ、マスケラと呼ばれる劇場係員に気軽に声をかけましょう。チケットを見せ、席まで誘導してもらいます。

  ただし日曜日の公演は15時開始ですので、立ち見席のための第一回点呼(リストに名を記す)は午前9時です。皆さん朝7時くらいから並び始めるようですよ。他の曜日の場合とは違いますので注意してください。

――――――――――――

 (公演15分前、スカラ座天井桟敷にて)

田中「ジュゼッペさん、今日は色々とありがとうございました。ところで今更ですが、今日の演目はなんでしたっけ?」

ジュゼッペ「おお、やっと聞いてくれたか。『ラ・トラヴィアータ』じゃ。日本では『椿姫』と呼ばれていると聞いておるぞ。」

田中「ああ聞いたことがあります。たしか有名ですよね。作曲家はえーとえーと…。」

 (そこへ、一人のマスケラが通りかかる)

サルヴァトーレ「おやマエストロ・ヴェルディじゃないですか! なんとこんな所におられるとは…。いやはや失礼いたしました。プラテア席(平土間席)をすぐに準備いたします。」

ジュゼッペ「いやいや、ここでいいのじゃ。天井桟敷で聴く音が一番だからのう。スカラ座内部の素晴らしい展望も楽しめるんでな。それに、わしが前の席に座っていては歌手たちが緊張するじゃろが。フォッフォッフォ。」

サルヴァトーレ「たしかに…。それでは Buono spettacolo!」