ミラノの日本人ヘアースタイリスト。生半可な気持ちでミラノにいるわけではない! 
3月 23, 2018
一汁三菜
4月 3, 2018

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イタリアファッションの中で生きる日本の若者 その④
末崎奈々子の場合 

 2014年にミラノのマランゴーニ学院(Istituto Marangoni)にデザイン留学。その翌年、イタリアン・カジュアルにおけるハイブランド、Studio Ypsilon のアトリエに入り、デジタルデザイン、パターンアシスタント、縫製、シューティングなどマルチに担当させてもらいながら、イタリアファッションに直に触れるようになりました。
 以前は日本の広告会社に勤め、単に一番興味があったファッション関係のクライアントを担当していました。しかし数年働くうちに、「商品のプロモーションをしているだけでは何も生み出せない」ことにジレンマを覚えるようになっていきました。もとよりイタリアに関しては仕事上の必要性から勉強しており、よく言えば伝統的、悪く言えば保守的なファッションに興味を持っていたのですが、特に際立ったワケがあるわけでもなく、このような経緯で、4年前に突然ミラノの空港に降り立ってしまったのです。
 
 マランゴーニ学院の授業で面白かったのは「生地の授業」。指定された全ての生地を店で探し出し、それらを使用している服を雑誌から切り抜いて一致させ、整理して一冊のブックを作るというものです。とにかく生地を見て、生地に触れて、生地のディテールをとことん研究しました。確かにイタリアの雑誌には、モデルの着ている服の値段ではなく素材が書かれていることが多く、日本の雑誌との違いを感じました。
 「歴史の授業」では、単に衣服の歴史の講義を受けるだけではなく、毎週美術館に赴き絵画や彫刻を間近で見て、そこから受けたインスピレーションからデザインを起こす。または何年代の映画を何本見てデザインを描きなさい。などといった課題が出されていました。まさに温故知新の国イタリア!そう感じました。
 そして現在私の働くアトリエでは職人さんたちに囲まれ、丁寧に一つ一つ、お客様一人一人に手作りしています。必要以上に既製服が存在する今とは異なり、服とは昔、このように全てオートクチュールでした。そこには「味」と「ライン」があります。イタリアのファッションを支えるモノとコトとは、「ディテールにこだわり尽くした生地」と、それらを確かなものにする「磨き上げられた技術」、そして「歴史への憧憬」なのかな? まだまだイタリアファッション初心者の身ですが、そう感じています。
 

末崎奈々子(すえざき ななこ

熊本出身。津田塾大学国際関係学科卒業。2014年に渡伊、マランゴーニでファッションデザインを学んだのち、ミラノのStudio Ypsilonにてコレクション作成やオーダーメイド業務に携わっている。

写真:アトリエの手作り服をモデルさんに着てもらい、撮影です。

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