一汁三菜

(Ciao!Journal no.10 2018年1月号より)
ザ・和食

 本日は、我々日本人の素晴らしい和食文化のお話をいたします。和食の食事形式の特徴である「一汁三菜」(いちじゅうさんさい)について説明いたしましょう。

 [one_second] 和食は、「ご飯」に「漬物」を主にして構成されています。その他の「汁」と「おかず」(御菜)は、基本は汁が1種、おかずが3種、つまり「一汁三菜」です(ただしおかずが1種類の一汁一菜、2種類の一汁二菜などもありますが、それら全てが「一汁三菜」という考えです)。「一汁三菜」とは、まずは「主食であるご飯とそれ以外の副食」に大きく分けられ、さらに副食が「主菜と副菜」から成り立ち、これに「汁物と漬物」が添えられ、「箸を使って食べる」という日本独特の食文化を表現した言葉でもあります。おかずと汁、漬物は、塩気のないご飯を食べるために工夫されたものです。

 ご飯に汁物、おかずと漬物の要素さえ揃えば、その組み合わせが自由であることも和食の特徴です。家庭料理も日本料理店の料理も、おかずの数や内容が異なるだけで基本的に一汁三菜であることに変わりはありません。一汁三菜は、栄養面から見て極めてバランスの良い食事であるだけでなく、ご飯とおかずを交互に食べることで、蛋白質や脂肪分の取りすぎを抑えることができるとも言われています。和食の食べ方は「ご飯とおかずを交互に」です。すなわち、ご飯を食べる→おかずを食べる→汁を吸う→ご飯を食べる→漬物を食べる…。

 私たちが日頃食べているご飯と味噌汁、おかず、漬物には、実は和食文化の全てが詰まっています。

(1)雨が多く湿度が高い日本ではカビが発生しやすいのですが、日本人はこれと共存する知恵を生み出しました。すなわち、微生物の力を借りて食材を保存し栄養価を増幅させる“発酵の文化”を作り出したのです。和食に欠かせない味噌、醤油、鰹節、漬物、日本酒などが発酵によって生み出されました。

(2)海洋資源が豊富にあることで、まずは新鮮な魚介類を生で食べる“刺身の文化”が生まれました。そして調理方法の多様化へと繋がり、その中でも和食の柱となったのが「海産物から出汁(だし)を取る」という“うま味文化”です。

(3)四季のはっきりした日本の季節ごとの多種多様な食材が、日本料理を豊かなものにしています。また、箸や椀にみられるように、そこには“木の文化”が生かされています。

  日本の温暖湿潤な気候が豊かな自然環境を作りあげたこと。まずこれが和食文化の背景にあります。その上で、様々な国々の食文化をも吸収しながら日本は独自の食文化を発展させてきました。実際、米をはじめとする穀物や野菜の多くは日本に自生していたものではなく、海外から輸入されて根づいたものです。また、季節の節目(節句)の行事や器作りなどの技術が大陸から伝わったことで、日本人の食生活は進化し、彩りが加わりました。仏教や陰陽五行説も日本料理に大きな影響を与えました。

 そして最後にもう一つ。日本人は「食べる」ということだけでなく、そこに発生する「おもてなし」の気持ちを作り上げてきました。和食文化とは、感謝やおもてなしの気持ちを伝え合うために、しきたりや食事作法などをも含む、総合的なものなのです。

Fumiaki Tamada

写真・Satoru Masuko

※当記事を執筆するにあたり、一般財団法人 日本ホテル教育センター発行のテキスト「和食検定 入門編」を参考にし、言葉を引用しています[/one_second]

一汁一菜
一汁二菜
一汁三菜

 

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