にほんごがっこう『慣用句 (idioma)』

(Ciao!Journal no.8 2017年11月号より)
にほんごがっこう

慣用句(idioma)

慣用句かんようくとは、ふた以上いじょう単語たんごがむすびついて、もとのそれぞれの単語たんごとはまったちがった意味合いみあいをつようになって定型句ていけいくとして使つかわれているまわしです。

 ケンくんはある、かわいいおんなかけました。ですが、なんだか様子ようすがおかしいのです。いったいどうしたのでしょう?(※文中ぶんちゅう太字ふとじ部分ぶぶんが慣用句かんようくになっています。)

ケン 「おじょうさん、足差あしさあしして、どうかなさったのですか?」

ネネ子「しーっ! しずかにしてちょうだい。いま、ドロボウの最中さいちゅうなの。」

ケン 「ええ~っ、なんてことだ! きみ泥棒猫どろぼうねこだね。」

ネネ子「まあ、イヤなかたをするわね。でも仕方しかたないわ。Siamo come cane e gatto. 私達わたしたち大昔おおむかしから犬猿 けんえんなかですものね。こうなったら脱兎だっとのごとくげないと ヤバイわねえ。」

Illustration by Isato

ケン 「え? gattoのごとく?」

ネネ子ちがうわよ。だっとのごとくよ。げていくウサギのような、とてもはやうごきをあらわ慣用句かんようくよ。」

ケン 「うーむ、君はイタリア語も日本語もよくっているんだねえ。」

ネネ子「だって、イタリアじんいえにも日本人にほんじんの家にもんだことがあるもの。そういえば、イタリアでウサギを使つかった慣用句かんようくに、cuore di coniglioっていうのがあるわ。臆病者おくびょうもの意味いみよ。いぬってホント臆病おくびょうよね。 Se ne va con la coda tra le gambe. いつも尻尾しっぽいてげるんだから。」

ケン 失敬しっけいだね。たしか日本語にほんご慣用句かんようくに、心臓しんぞうがえているっていうのがあるよ。神経しんけいが図太ずぶとひとのこと をうんだ…。」(「きみみたいに」といたいがえない。)

ネネ子「cuoreを使つかったイタリア慣用句かんようく parlare a cuore apertoは、はらってはなすってことよ。」

ケン 「じゃあはらってはなすけどね、いまから警察けいさつぼうとおもっているんだ。」

ネネ子「まあ、私はなわになるのね?」

ケン なわになるって?」

ネネ子逮捕たいほ(arresto)されることよ。でも残念ざんねんねえ。Dobbiamo arrestare questa bellissima conversazione! ねえ、許してえ。」

ケン 「そんなねこなで声を出したってだめだよ。そろそろぼくたちの会話かいわピリオドをよ。」

?? イタリア語で読む→ https://www.ciaojournal.com/2018/05/25/scuola-di-giapponese/?lang=it

文中ぶんちゅう慣用句かんようく

・抜き足差し足(ぬきあしさしあし)
・泥棒猫(どろぼうねこ)
・essere come cane e gatto
・犬猿の仲(けんえんのなか)
・脱兎のごとく(だっとのごとく)
・cuore di coniglio
・andarsene con la coda tra le gambe
・尻尾を巻いて逃げる(しっぽをまいてにげる)
・心臓に毛が生えている(しんぞうにけがはえている)
・parlare a cuore aperto
・腹を割って話す(はらをわってはなす)
・お縄になる(おなわになる)
・猫なで声(ねこなでごえ)
・ピリオドを打つ(ぴりおどをうつ)

コメントする

チャオジャーナル講読!Ricevi CiaoJournal!
We respect your privacy.