オリンピック性別問題

  8月1日、五輪ボクシング女子66キロ級2回戦。イタリアのアンジェラ・カリニ選手が試合開始46秒で、「これは間違っている」と訴えながら棄権するという出来事があった。対戦相手はアルジェリアのイマネ・ケリフ選手。2023年女子ボクシング世界選手権でIBA国際ボクシング協会の資格基準を満たせず、失格になった選手である。DNA検査でXY染色体を持っていること(性別に関わる情報を持つ性染色体が「XY」だと男性になる)と、男性ホルモンであるテステロンの数値が高いことから、「女性として出場する権利がない」と判断されたからだった。だが一方、IOC国際オリンピック委員会は資格基準を満たしているとしており、実際にケリフ選手は東京オリンピックに出場した。
 カリニ選手は今回の試合中、「顔面に受けたパンチが痛すぎた」という理由で棄権を決めたという。ケリフ選手に挨拶することもなく、涙しながらリングから降りた彼女は、「諦めたわけではない。自分を守るため、家族のために棄権することにした。引くことが時には成熟の証であったりする」と説明。その態度にイタリアでは「イタリアの恥」とSNSで炎上しているが、イタリアのメローニ首相は「対等な戦いではなかった。男性遺伝子の特徴を持つ選手は女子の試合に参加させるべきではない」とコメントした。また、カリニ選手に同情したIBAは、オリンピック優勝者が受ける賞金と同額の5万ドルを彼女に贈ることを発表した。
 8月3日、ケリフ選手は準々決勝に挑み、注目の選手を見ようと集まった多くの観客で会場は更に賑わった。ケリフは対戦相手のハンガリー選手アンナルツァ・ハモリを見事に破り、準決勝進出を決めた。彼女はプレッシャーから解放されたかのように涙を流し、「全ての女性の尊厳のために戦います。私はここにたどり着くまで努力をしてきたんです。喜びとメダルを祖国に持ち帰れることを誇りに思います」と述べた。

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