1月17、18日の二日にわたり、ミラノのノーマ劇場にて『Fushikaden(風姿花伝)』が上演された。
スポットライトが当たると、そこに白いお面がポンと浮かび上がった。
何が始まるのか。暗闇の中から徐々に浮き出てきたのは日本の古典の世界。
日本人の役者がステージの真ん中に立ち、お面を顔にかざし、「日本のしきたり」と「仮面」に縛られた演技を披露する。
と、雰囲気はガラリと変わり、今度は和太鼓と笛と歌での演奏だ。素晴らしく調子がいい。途中からイタリア人奏者も加わって舞台は盛り上がる。浴衣を着た女性がそこで見せるのはなんと盆踊り。
お次はしっとりとしたピアノ伴奏と歌の世界。それまで楽しんで(体を揺すりながら)見ていた絵をパッと取り上げられ、別世界に迷い込んでしまった。孤独感さえ感じる。
だが演者達はそこから抜け出し、己を締め付けるものからも抜け出て、新たなものを作り出し始めている。これはきっと、日本文化と西洋文化が融合していく道筋だ。
スライドがテンポ良くどんどん変わっていく。そんな印象の、引き込まれる舞台だった。観衆は激しい川の流れに巻き込まれ、共に流されていった。それぞれがその川をどのように理解したかは別にして。
(Ciao!Journal no.11 2018年2月号より)
文・Natsu Funabashi
写真/foto:© Spazio Teatro No’hma, Makoto(Codice Bianco)
『風姿花伝』/“FUSHIKADEN Tenka no Emotions”
プロダクション: Asian Studies Group – Teatro alle Vigne
アーティスト/artisti:Paolo Cacciato, Makoto Kobayashi, Nana Funabiki, Michele Gorlero, Yuna Saito, Taisho Kato, Mai Inaba, Tsuyoshi Maeda, Masayuki Sakamoto, Chiara Codetta Raiteri, Tobia Galimberti, Samuele Galimberti
芸術の世界には誰でも参加できるもの。そして他の人の奏でるアートの世界をも共有できるのです。「テアトロ・ノーマ」はそれを実現し、皆様に「文化に関われる場所」を提供しています。入場無料。www.nohma.org