大阪・関西万博におけるイタリア館バジリカータ・ウィーク

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Geienneffe Editore s.a.s.

 今回の大阪・関西万博のイタリア館は芸術愛好家垂涎の作品が群れを成し、大変な話題を呼んでいる。だが、それだけではない。週ごとに一つの州に特化した「ウィーク」を設け、各州が入れ替わり立ち替わり、順番にイタリアからやってきているのである。週替わりで展示の一部を入れ替え、併設のレストランではその州の郷土料理がメニューとなる。私はその中で、8月24日から30日にかけて開催されたバジリカータ州ウィーク中のイタリア館を訪れた。

イタリEXPO 2025年大阪 • 関西万博イタリア政府代表ヴァッターニ氏

 イタリア半島の最南端に近い所に位置するバジリカータ州は、イタリア20州の中で最も存在感の薄い州と言えるかもしれない。ナポリからプーリアに抜けるための通り道、あるいはイタリア半島からシチリア島に渡る際にちょっと足を踏み入れるだけの通路といったイメージが無きにしも非ず。そして、バジリカータ州の中で唯一、日本で知られているのはマテーラであろう。旧市街の「サッシ地区」の洞窟住居群の壮絶な光景には、誰もが息をのむ。

 だが実は、ここだけではないのだ。マテーラをはじめとし、この小さな州が織りなす景観は実に特徴的なのである。イタリア中南部の地形はどこも面白いものだが、バジリカータは観光化が進んでいない分、更に圧巻、更に魅力的なのだ。この地域は古代ローマ時代に「ルカニア」(神聖な森という意味)と呼ばれていたという。

 これまで、日本人旅行者にとってバジリカータは、アルベロベッロからちょっと足を伸ばしてサッシ地区を眺めるだけのregione(州)だった。同州をじっくり回るツアーはほぼ存在しなかったと言える。今回のバジリカータ・ウィークのプロモーションでは、日本の旅行会社の南伊ツアーに、マテーラだけではないバジリカータ州の名所各所を加えてほしいという熱烈アピールがあった。大阪・関西万博2025における同州のテーマは「Motherland」。プロモーションのためのこの作品は、バジリカータ生まれのビジュアル・アーティスト、シルヴィオ・ジョルダーノ氏によるものだ。

©︎Motherland by Silvio Giordano

 私はかつて一度だけ、バジリカータに足を踏み入れたことがある。イタリア地図の足の甲に当たる部分から、踵に当たる部分に渡るためにこの地を横断したのだが、原始的で雄大な自然景観に圧倒されたことをよく覚えている。バジリカータに特化したイベントに参加してみて、私はこの地の魅力を改めて認識したのだった。

Junko Kataoka