ヴィルジニア・モーリ の作品はシュールで不気味だ。
彼女はアドリア海に面したマルケ州ペーザロ市の出身。近郊のウルビーノ市にある国立芸術学校を卒業後、ミラノとウルビーノを中心にイラスト、アニメーションの分野で活躍中のアーティストである。本も出版している。
彼女の唯一の道具であるボールペンによって、繊細かつシンプルなタッチで描かれる少女たちの眼差しは、うつろに宙を泳ぐ。
少女たちは静かで、そして平然としている。作品のテーマとなっているそれぞれのアクションが、グロテスクであるにもかかわらず…。
少女たちの黒髪と線の薄い顔は、日本の漫画を連想させる。尋ねてみるとやはり、ヴィルジニアは幼いころ日本の漫画を読み漁ったという。独特な彼女の作風はその影響を受けたものに違いない。
暗く気味の悪いイラストには、掴むことができないままになぜだか魅了される。まるで悪夢のようだ。ヴィルジニアの作品を前にすると、そこに隠された意味を知りたくなる。しかし彼女がそれを明かしてくれることはなく、私たちは不安感と好奇心の狭間に取り残されるのである。